従来弱い立体視の検出は困難でしたが、われわれは動きの立体視検査装置を開発し、乳児内斜視の術後に、弱い立体視が得られる場合がかなりあることを報告しました。
日常視に近い両眼視機能を研究し、斜視診療に役立てていくことを考えています。

日本では、成人の6割が近視で、矯正しても視力のでない病的近視は約1％に見られます。近視の発症には動物実験で、網膜像のボケが関係していることが分かっています。
われわれは近視化を予防する手術的治療法および薬剤療法の開発に取り組んでいます。

虚血性視神経症や視神経管骨折などの視神経症は、有効な治療法が確立されていません。一方動物実験では、視神経を電気刺激すると、網膜神経節細胞死が抑制されることが証明されています（Morimoto T, et al. Neuroreport 2002）。
われわれは、大阪大学医学部の倫理委員会の承認を得て、難治性視神経疾患に対して経角膜電気刺激による網膜神経細胞保護の臨床研究を行っています。

網膜色素変性が進行すると、視細胞が変性して視力が失われます。このような患者さんに対して人工網膜および再生医療の研究を、われわれのグループを含む多くの施設で、積極的に進めています。これらの治療が適応されるためには、網膜の内層の細胞（双極細胞、神経節細胞）が残存していることが必要になります。
われわれは、大阪大学医学部の倫理委員会の承認を得て、経角膜電気刺激により擬似視覚（Phosphene）を感じるか否かを指標に残存網膜神経細胞の評価を行っています。